浸透しつつある21世紀型教育と日本のITスキル

日本に限ったことではありませんが、21世紀の教育は従来から大きく刷新するべきだと言われています。様々な国の人と会話をし、自分と全く違う「常識」と出会う多文化共生社会、たくさんの情報が飛び交う情報化社会と言われてだいぶ時間がたちました。教育もそれに適応するべく工夫がされています。加えて、IT関連技術発展もさらに上の二つに拍車をかけて、21世紀で生きるための新しいスキルが求められます。その根本を整理した教育方針が「21世紀型教育」です。

21世紀型教育とは

国立教育政策研究所が、サンプル授業の事例や、諸外国の動向を参考に研究を進め、教育方針としてまとめたものが「21世紀型教育」です。これよりも大きな定義で文科省が定める学習指導要綱に「生きる力」があります。自ら生き抜く力として必要な、心と体の成長、学習についても総合した内容がこちらです。替わって「21世紀型教育」は学習に関して必要な能力を細分化し、これからの教育で意識するべき内容をまとめたものです。

1、「基礎力」
・言語スキル
・数量スキル
・情報スキル
2、「思考力」
・問題解決:発見力、創造力
・論理的:批判的思考力
・メタ認知:適応的学習力
3、「実践力」
・自律的活動力
・人間関係形成力
・社会参画力
・持続可能な未来づくりへの責任

引用:
国立教育政策研究所
社会の変化に対応する資質や能力を育成する教育課程編成の基本原理
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/Houkokusho-5.pdf

知識や技術などの基礎力

知っているだけのことを答えるばかりでなく、他人と協調して新しく答えを見つけ出すような力も含まれます。そして生きていく上で学習した知識や技術を活かして、実社会で活用していく力にもなります。基礎力というと、基本になる読み書きだけの能力という認識されがちですが、21世紀型教育の中では、総合的な意味合いであり、より発展性のある力となります。

自ら問題を解いていく思考力

論理的思考力や問題発見解決力というような能力を思考力と位置づけます。問題を解くためだけの能力に留まらず、問題を解いて新たな疑問やアイディアを見つけるような力や、問題の解き方を次に活かす能力もあります。ただ考えるだけの思考に留まらず、それを基に広げて考えられるような力も含まれます。

得た知識や技術を活用した実践力

言語スキルや数量スキルや情報スキルの知識や技能の修得を目指すものでありますが、従来の読み書きだけではありません。取扱説明書を見て実際に作業する力、商品説明や広告のメッセージを見て隠された内容を理解する力も言語スキルの1つです。さらにはインターネットの急速な発展の中では、より整理して情報を読み解く必要があります。いつの情報なのか、自分に当てはまる情報なのかなど整理して行動する力が求められます。

大人が子どもの頃に意識してきたこと以上に、身に付けるべき力が増えているかもしれません。

より強調されるITスキルの必要性

21世紀教育の発端にはやはりIT技術革新が大きく影響しています。従来よりも多くの情報を取捨選択する必要が出てきたのも、グローバル化が意識され始めるのもITがそれを加速させたからでしょう。従ってITスキル自体についてもまた21世紀型教育の重要なトピックであると感じています。従って子どものうちからの土台づくりは重要です。
たとえばパソコンを操作するにしても、まずタイピングにマウス操作と出来なければいけません。タブレットもタッチパネルでの操作にも慣れておいた方が良いでしょう。これらは当たり前すぎることではありますが、少しできないだけで致命的な遅れになるはずです。
重要なITスキルとして、「モニター上の複数の情報を処理する能力」も必要です。どの情報を活用すればよいか適切に判断する必要があり、これが不得意であれば情報収集でかなりの支障がでます。こうしたITスキルの重要性を再度認識したいと私たちも感じています。

ITスキルの必要性をさらに押し上げるトピック

IoTに関連した技術革新

IoTとは生活をとりまく様々なものがインターネットでつながることを意味する言葉です。たとえばテレビがインターネットを使い双方向で情報をやりとりできるようになりました。また腕時計がインターネットを使い様々な健康管理情報をやり取りするようになりました。進化するテクノロジーを活用するスキル、これらのテクノロジーを製品化し円滑な情報交換を行うスキルが今後求められます。

VRやAR

仮想現実、拡張現実と言われる技術で、ゲームなどを筆頭にビジネス、教育にも取り入れられています。ゲームに限ってもVRでは「Play Station VR」ARでは「ポケモンGO」など大ヒット商品が出てきています。これらを含めVR、ARのハードウェアの市場規模が2020年に16兆円に上るという試算も出始めています。これはITとしてもつながる部分で、「仮想の状況」をインターネット経由で周りに伝える際に、求められる技術がたくさんあるでしょう。

このように絶えず新しい技術革新が起きるごとにITが紐づく時代です。

日本がITスキルの教育を特に必要とする理由

大きな理由の1つが諸外国の発展で日本人の仕事が奪われる可能性があるからです。かつては技術大国と呼ばれた日本ですが、特にアジア諸国の技術レベルの向上で生産拠点がどんどん海外に移っています。大きな土地や資源に乏しい日本であるため、産業を発展させるためにはIT分野を遅らせるわけにはいきません。そのためにより基礎的な部分では現代に生きるをスキルつける「21世紀教育」と具体的な「ITスキルの向上」はセットで考えられているのではないでしょうか。

大人はぜひご紹介したような状況を把握して、子どもが身につけるべきスキルを考えてあげたいものです。そして、必要とされるスキルの中で、子どもが秀でているものを見つけたら、是非ともそれを伸ばしてあげると良いでしょう。