IT人材不足は深刻化?エンジニアが求めらる今

産業界ではIT関連投資が続き、情報セキュリティなどのニーズが高まっていることにより、IT関連の需要は伸びていますが、それに対する供給が不足し、優秀な人材不足が起きています。しかし日本では人口減少に伴い労働人口も少なくなることから、今後も今以上に人材不足が深刻になっていくでしょう。

そんな中で日本では産業にとってITが重要な役割を担うことが期待されており、IT関連の人材を確保することは、重要な課題となります。

日本のIT人材需要

日本では2019年をピークに産業人口は減少に向かうと予想されており、IT関連の従業者の平均年齢は、2030年までに上昇を続け、産業全体で高齢化が起こると予想されます。今後IT人材は不足することが見込まれていますが、現在の不足数は約1.5万人であり、これが2020年までには4.8万人に増えると見込まれています。そしてこれはIT関連だけであり、情報セキュリティ分野を含めるとさらに多くなると予想されています。

そして日本のIT関連従業者は理系出身者が少ないというのも特徴です。日本では理系出身者が約5割であるのに対し、例えばインドでは約8割となっており、大きな差があります。如何にして理系の学生に、IT関連企業に興味を持って入ってきてもらうかも、大きな課題と言えます。

海外のエンジニアとの年収差

さて日本でIT関連のエンジニアが不足する理由の1つに、海外との待遇の違いがあると言われています。たとえばアメリカのエンジニアの給料はSEで年収1,000万円近くであり、それに対し日本のエンジニアの平均年収は、SEで430万円程度です。またイギリスは約700万円、フランスは約570万円と、やはり日本より高くなっています。SE以外のIT関連の職業を見ても、日本は年収が500万円ぐらいの範囲に集中しており、やはり海外と比べると年収は低い傾向にあります。

その背景としてアメリカのエンジニアは、日本のように誰でもなれるような職業ではありません。技術が問われる専門職としてしっかり評価されています。それが功を奏したかアップルやマイクロソフトやグーグルなど世界的なIT企業を輩出しています。これとは反対に日本は以前、他の国と比べてもエンジニアの地位、給料ともに低い扱いを受けていたと言えるでしょう。

しかしながらその状況は徐々に理解され始め、優秀なエンジニアはどんな企業からも引っ張りだこの状態が続いています。スキルアップ支援、人材確保、処遇の改善など、取り組むべき課題をクリアし、この状況を改善できるところまでは来ているでしょう。日本でもグーグルやマイクロソフトのようなグローバルに活躍する企業の活躍が増えることで、さらにエンジニアが重宝される国になるはずです。

世界のエンジニアの特徴

前述のとおり基本的に海外で働くエンジニアは、大学などで専門教育を受けたことが前提となり、日本のように文系OKなどとはいきません。このためにエンジニア自体が希少で価値のある存在となります。またエンジニアとして働くためには、コミュニケーション能力やコーチング能力も必要であり、プログラムの知識のみでは勤まらない職業なのです。

独立志向や転職

日本ではその会社で働くためにエンジニアになりますが、海外では募集されている職種に就くという考えが主流です。そしてエンジニアとして働くなら、さらに上を目指して働くことも多く、少しでも条件の良いところがあれば転職することも珍しくありません。

人によっては、技術や人脈を確立していって、独立しようとする人も多く、そのような考えになっているので、初期のマイクロソフトやアップルのような企業が、海外ではどんどん誕生するのです。この独立しようとする流れは今も変わらず、場合によってはベンチャー企業を立ち上げ、将来グーグルなどの大手に買い取ってもらおうと、考えるようなこともあります。

教育の満足度

海外でエンジニアとして働く場合は、その人と一緒に働きたいかで職場を決めることも多いです。それまでの業務経験やトラブル解決の経験、関わったプロジェクト内容など、その人の仕事の経験を見て、一緒に働きたいか決めることが多いです。

また海外では教育も充実しており、仕事もフレックス制がほとんどであり、残業もほとんどないです。ただし海外だと働きやすい環境ではありますが、その分解雇する場合もあっさりとクビを切られて、日本のような終身雇用制度はないです。

海外では数字が求められますので、数字を出せないような人はすぐに解雇や、降格となり給料が減らされる実力主義の世界でもあります。

海外のエンジニア市場ではすでに制度、教育体制が整い、優秀な人材を輩出する国も多くあります。かつての技術大国日本はいまや後れを取っています。しかしながらIT人材需要は今後も大きく伸びていく傾向にあるので、待遇も改善され、子どもの将来注目をあびる仕事となるでしょう。そしてその時多くの子どもがIT関連の知識を学び、日本を担う次世代へと成長していくことでしょう。