脱ゆとり!小学校教育が向かう「生きる力」の育成とは

文部省は教育の強靱化に向けて次期学習要項が示されました。今まではゆとり教育というのがメインに教育では行われてきましたが、これは子どもの考える力を低下させるの反省点があると言えるでしょう。今回の学習要項の改訂は戦後8度目となり、今までも様々な教育現場の問題を受けて変化してきましたが、今回は脱ゆとりを掲げた改訂となります。

実は詳しく知らない学習指導要領の中身とは

学習指導要領といっても、あまり詳しくは知らない方も多いでしょう。その中身を解説します。

そもそもの意味

学習指導要領は、1947年に初めて作られました。それは教育課程の基準であり、各学校で教える内容を規則で定めた物となります。これは公立学校に対する影響が強く、私立学校では影響力が弱まります。学校で教える内容を明記しており、それに基づいて教育現場では子どもへの教育が行われます。

これまでの変遷

学習指導要領が作られて、60年代の高度成長期になると、現代化カリキュラムという綿密な授業内容が導入されます。しかしこれは教科書を消化しない部分を残したまま進級したり卒業するというなど、落ちこぼれを生み出す問題も発生させました。

このような問題が顕著になってきましたので、授業数を減らすべきではないかという声が強まってきます。そこでそのような反省から1980年になると誕生したのがゆとりカリキュラムです。この時が日本の大きな分岐点になり、ゆとり教育が段階的に行われます。こうして徐々に授業数が減っていき、学力以外の部分を伸ばそうと教育が行われます。そのような中である時期、日本の学生の学力が大幅に落ちたとはっきりとわかったPISAショックにより、2011年には減り続けた授業時間数が約30年ぶりに増加し、脱ゆとりへと舵を取ります。そして大きく掲げられたのが、自ら考え行動する力を身につけるということです。

ゆとり教育の振り返り

ゆとり教育について、振り返ってみましょう。

詰め込み型の反省を生かした授業数

ゆとり教育が行われる前は、受験戦争や不登校などの問題は、詰め込みすぎた授業のためだと考えられました。そこで行われたのが、学習時間を減らして経験重視の教育にしようという変化です。それがゆとり教育といわれる、大きな学習指導要領の変化です。

発想力、考える力を重視する授業タイプ

このゆとり教育では、学習時間を減らす変わりに、発想力や考える力を身につけるための授業を行うようにしました。ゆとり教育の有名な例は円周率が3と言うことですが、これは嘘であり、円周率は3.14として教え、この後も数字が続くということも教えています。ただし確実にPISAによって日本の学生の学力が低下しているのは、数値で出ているので、ゆとり教育に問題があるのは間違いないです。

今回改定された「生きる力」の中身とは

今回改訂された学習指導要領には、生きる力を養うというのも掲げられており、これはいわば勉強以外のところでも養うという意味になります。そしてそれは知・徳・体の3つを育むことを目指しています。ただし一部ではこれはゆとりへの逆戻りではないかという批判もあります。

確かな学力

これは基礎的な知識や技能、これらを活用して解決する思考力、そして主体的に取り組む態度という3つの要素からなりたり、学力の3要素で構成される力のことを言います。

豊かな人間性

これは、自らを律して他人と協調しそして他人を思いやる心や感動する心などを持つ人物のことを言います。簡単に言えば魅力的な人間性を持ち合わせた人物と言えます。

健やかな体

健やかな体は、そのまま健康的な体を作っていくことであり、これは学校以外の部分での協力が重要となります。やはり学校だけで出来ることは限られて来ますので、学校以外で子どもが過ごす時間をどう使うかで、健やかな体を育てられるかも決まってきます。

家庭ではぐくむ「生きる力」

家庭での生活はそのまま子どもの健康に繋がり、とても大切です。早寝早起きをしたり、家族円満に過ごしたり、または家族で揃って食事をするというのも家庭で育む生きる力です。

地域ではぐくむ「生きる力」

地域での力も子どもを育てるには重要であり、地域での活動などを通して、多様な価値観を身につけて、行動する力を養い、社会で生きていく力を身につけます。

いま求められているアクティブラーニング

学習指導要領では「アクティブラーニングの視点で、学習過程の質を改善する」とうたっています。アクティブラーニングとは、自ら考え積極的に情報を集め学習することを意味しています。さらに自分の知っていることをどのように応用し、行動に移すかということも問われます。
このアクティブラーニングという言葉が注目を浴びる背景には情報流通が進み、正しい答えも必要じゃない答えも収集可能になり、どう自分ごとにして行動していくかが問われているからです。新しい学習指導要領に加え、親としても子どもの興味を知ってあげて、それを自ら積極的に伸ばせるような働きかけが必要かもしれません。

以上のように小学校教育は少しずつ形を変えて、時代に合った方針を模索しています。小学校の効果的な実施方法を期待するとともに、是非とも親も子どもと向き合う時間を増やして、今の子どもに合わせた教育を考えてみてはいかがでしょうか。